相続財産が自宅の土地建物と少しの金融資産のケース
相続財産が自宅と少しの金融資産、というケースは非常に多いです。
当事務所に相談に来られるお客様も、一番多いのがこのケースですね。
そして、揉める場合が多いのもこのケースの特徴です。
なぜでしょうか?
それは、土地と建物は金融資産と違って半分に分ける、ということができないからです。
建物と土地を真っ二つに割って分ける、というのは無理ですよね。
そのせいでうまく相続財産を分けることができず、揉めてしまう可能性が出てきてしまいます。
そこで、自宅と金融資産が相続財産の場合、どうすれば円満に相続をすることができるのか?
まずはそのポイントをお伝えしていきたいと思います。
自宅と金融資産が相続財産の場合のポイント
ポイント1:相続税がかかるかどうかのチェック
まず最初に、相続税がかかるかどうかをチェックする必要があります。
相続税がかかる仕組みはどのようなものかというと、相続財産の合計が
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3000万円 + 600万円 × 相続人の数
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を超えるとかかることになります。
例えば、相続人の数が2人の場合、
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3000万円 + 600万円 × 2 = 4200万円
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となり、4200万円の基礎控除内であれば相続税はかかりません。
基礎控除の額を超えると、相続税がかかる可能性があります。
相続税がかかる場合は、10ヶ月以内に相続税の申告をする必要が出てきますので、それに合わせてスケジュールを組んでいくことが必要になってきます。
特に土地を売却する場合は、この期限がある為にすぐに行動を起こしていく必要があります。
逆に、相続税がかからないとわかった場合は、この期限がありませんのでゆっくりと手続きを進めていくことができます。
ポイント2:相続税がかかる場合、納税資金を準備することできるか?
相続税がかかる場合は、納税資金をどうやって準備するのかを考える必要があります。
金融資産が多い場合は、そこから相続税を支払うことができるので問題ありませんが、そうではない場合は土地を売却する必要が出てきます。
また、金融資産から相続税を払うことができるケースでも、相続税を支払った後に上手く相続財産を分けることができない場合はやはり土地を売却して現金化することが必要になってきます。
ポイント3:土地建物を売却しない場合、活用方法は現実的か?
土地建物を売却しない場合、そのまま空き家として残す、リフォームをして賃貸として貸し出す、建物を解体して駐車場にする、などの方法が考えられます。
しかし、空き家として残す場合は固定資産税や維持管理費がかかりお金が出ていくだけになってしまい、さらに誰が管理をするのか?という問題が出てきます。
賃貸に出すとしても、誰がトラブルに対応するのか、家賃を受け取るのか、修繕費用を負担するのか、など考えることが多くなってしまいます。
駐車場にするにしても、立地が良くない限り、建物の解体や整地費用がかかる割にすぐに大きなお金が入ってくる訳ではないので、魅力的な選択肢になるとは言い難いのが現状です。
また、相続をする土地や建物を平等に分けようとして共有名義にしてしまうと将来的に売却が難しくなったり、次の相続の時に揉める原因になってしまいがちです。
生まれ育った場所を手放すことになるのは非常に悲しいことですが、現実的なことを考えると、売却という選択肢を選ばれる方がほとんどになります。
ポイント4:相続人の仲が良いかどうか?
相続人同士の仲が良いかどうか、というのも大きなポイントです。
仲が良い場合はスムーズに話を進めることができるので、大きな問題なく相続を終えることができる可能性が高いです。
ただし、仲が悪い場合は話し合いがまとまらず、お互いが納得するまでに時間がかかってしまいます。
さらに、相続の話をする中でさらに仲が悪化してしまうケースもあります。
こういった場合は、間に第三者を挟んで話し合いを進めていくことでスムーズに手続きを行うことができる可能性があります。
当事務所では、この立場で相談を進めていくことができ、必要に応じて弁護士にアドバイスをもらうことも可能です。
ポイント5:実家で同居をしている相続人がいるかどうか?
相続人のうちの誰かが両親の家に住んでいた場合、話し合いに時間がかかる場合が多いです。
なぜなら、介護の問題が絡んでくることがあるからです。
親と同居をして介護をしていた相続人がいる場合、その負担感の大きさから不公平感を持ちやすくなります。
また、売却が唯一の選択肢になった場合、同居をしていた相続人は新居を探さなくてはいけません。
そういった意味でも、実家で同居をしている相続がいる場合は、相続の話が複雑になりがちになります。
ポイント6:土地建物の名義を変更する
土地建物を相続するにしても、売却するにしても、名義変更が必要になってきます。
売却をする場合は亡くなった方の名義では売れないので、相続人の名義で売ることになります。
例えば、売却をしてそのお金を相続人2人で分ける場合は、いったん共有名義にして売却の手続きを行うという形です。
また、土地の一部の名義変更が正しくできておらず祖父の名前のままになっていた、ということもたまにあります。
その際は、名義変更登記の専門家である司法書士と連携をして相続登記の手続きを進めていくのが良いでしょう。
実際にあった相談事例を
ご紹介していきます
上記が、相続財産が自宅と少しの金融資産というケースの場合に考えるべき主なポイントになります。
当事務所に寄せられる相談の中で最も多いケースで、数多くの方をお手伝いしています。
それでは次に、
『実際に当事務所に相談をして、相続を無事に終えることができた具体的なケース』
を紹介していきたいと思います。
この実際のケースを見て頂くことで、具体的にどのように相続の手続きが進んでいくのかがイメージできるかもしれません。
相続人2人がどちらも実家に
住んでいなかったケース
※プライバシーの観点から、個人情報に関わる部分を変更しています
60歳前半の男性からの相談です。
父親が亡くなった後、実家に母親が1人で住んでいたけど、相続が発生し、住む人が誰もいなくなってしまいどうすればいいか?
ということで相談に来られました。
相談者様には弟がおり、残された財産としては実家の土地建物と、数百万程度の預金のみでした。
相談の結果、相続税がかからないことがわかったので、10ヶ月の納税期限を気にせずにゆっくりと時間をかけて相続を進めることができるということがわかりました。
実家をどうするのかを検討
住む人がいなくなった実家については、相談者様も弟様も、生まれ育った場所なのでそのままにしていきたい気持ちはあるけれど、その土地・建物の管理をどうすればいいのかわからない状況でした。
選択肢としては、
放置して空き家にする
建物をリフォームして賃貸に出す
建物を解体して駐車場として貸す
売却をする
というものがありましたが、空き家の場合は固定資産税や庭の維持管理費、火災の場合に備えての火災保険などのお金がかかってしまうことや、隣人トラブルに発展してしまう可能性もあることがわかり、別の方法を考えることになります。
建物をリフォームして賃貸に出す場合、毎月に入ってくる賃料をどうやって分けるのか?どちらかの口座に入金をして、それを毎月分配するのか?
修繕費用を誰が出すのか?何かトラブルがあった場合は、誰が窓口になるのか?もしどちらかが窓口になった場合、家賃の分配は半分ずつだとおかしいのではないか?
など、考えなければいけないことがかなり多いということをお伝えすると、「そこまでの手間はちょっとかけられない・・・」ということで、選択肢から外れました。
また、駐車場にするにしても建物の解体費用や整地費用がかかり、その(解体)費用を回収するまでにかかる年数を計算すると約10年もかかるということがわかり、あまり効率的とは言えない状況でした。
相談の結果、実家を売却することに
相談の結果、これらの理由に加えて売却した場合は、
維持管理の手間が必要ではなく、手間やストレスが全くないこと
不動産が共有名義になるのを防げるので、意思決定のために話し合いが必要になったり揉め事の種を残さないで済む
相談者様の子どもがこれから大学に入ることもあり、必要な教育資金を準備することができる
このようなメリットがあることから、土地建物を売却するという方向で進めていくことになりました。
売却方法のアドバイスを行った結果、1ヶ月半で売却が完了
当事務所は宅建業者なので、不動産の売却の際には不動産屋さんに行くことなく直接お手伝いができます。
土地建物を売却するにあたって、既にある建物を解体せずに、解体費用を予め割り引いて売りに出すことが最も良い形だと判断をしたのでそのような形で売りに出し、1ヶ月半ほどで売却を終えることができました。
その結果、売却をして得た現金を半分に分けることで相続を仲良く終えることができました。
相続人のうち1人が実家に住んでいたケース
※プライバシーの観点から、個人情報に関わる部分を変更しています
50代半ばの男性からの相談です。
父は既に他界をしており、この度は母が亡くなってしまったが、どうしたらいいのかわからないとのことで相談に来られました。
相続財産は実家の土地建物と数百万円程度の金融資産で、金融資産は葬儀代を払うとなくなる程度でした。
相続財産を受け取る権利のある相続人は相談者様とその兄で、兄一家は実家で母と一緒に住んでいました。
一方で、相談者様は自分でマンションを購入しそこに住んでいる、という状況です。
相続税がかかるかどうかを試算した所、かからないことがわかったのでゆっくりと相続手続きを進めていくことができることがわかりました。
焦点となるのは、相続財産をどう分けるのかです。
相続人の要望を把握しながらベストな方向性を検討
相談者様と兄との関係はあまり良くなかったので、不平等感が起きないように気を付けながら相談を進めていくことになりました。
まず、兄の要望を確認した所、一家で実家に住み続けるということを希望していました。
お互いが持っている不平等感から問題が発生
相続の方法としては、兄が土地建物を相続し、その代わり相談者様に土地建物の資産価値の半分を現金で支払うという『代償分割』という方法がありましたが、
兄の方にはそこまでの現金が無い為、実家の土地建物を売却するという方向で進めていくことになりました。
土地建物を売却する前に、財産の分け方について兄弟で話し合いをしてもらいましたが、相談者様としては、
「兄は住宅ローンを払わずに実家に住むことができていたので、財産を平等に分けるのはおかしい」
と、不平等感を持っていらっしゃいました。
一方で、相談者様の兄としては、
「両親の面倒を嫁と一緒に実家で見続けてきたので、それをしてこなかった弟と財産を平等に分けるのはおかしい」
と、2人とも同じような考えを持っていることがわかりました。
法律相談を行いながら適切な分配方法を確認
そこで、弊社と提携をしている弁護士に間に入ってもらい、法律相談を行うことになりました。
結論としては、財産の分け方は2分の1ずつが適当だということになり、2人に納得をして頂きました。(もちろん、すぐに100%納得するというのは難しいですが、このような結論になる場合が多いです)
ここまで話がまとまった所で、2分の1ずつ財産を分ける方法を考えることになりました。
実家の土地の広さ、形状を考えると2つに分割することができる状態だったので、建物の解体作業を行い、弊社と連携をしている土地家屋調査士に測量を依頼しながら、土地を2つに分割しました。
その上で、1つの土地を相談者様名義、もう1つを兄名義に変更して相続をすることにしました。
その結果、相談者様は相続をした土地を売却し、住宅ローン返済や教育資金の準備に活用することができるようになりました。
兄としては、住宅ローンを組み相続した土地に新しい家を建築し、生まれ育った土地に住むことができるようになりました。
第三者が間に入ることで得られた結果
このようにして、仲が元々あまり良くなかった兄弟でしたが、間に第三者の調整役が入ることによって上手く話をまとめることができました。
相談者様にも、嬉しいことに「もし間に入ってもらわなかったらこんなにスムーズに進まなかったと思う」というお言葉を頂いています。
また、「土地を分割したりすることは専門家ではないとできないので、サポートをしてもらい非常に助かった」という感想も頂きました。
手続きをスムーズに進めるお手伝いが
必要な場合はご相談下さい
上記のケースのように、当事務所にご相談頂ければ、
- それぞれのケースで最もベストな選択肢の提示
- 相続人全員の意向を汲み取りながら全員が納得できる落とし所を一緒に探していく
- 土地建物の売却が必要になった場合の実行サポート
- 必要に応じて専門家と連携し、スムーズに手続きを進めていく
このようなことを実現することが可能です。
当事務所では、自宅と金融資産が相続財産という相続については数多くの相談実績があり、相談を頂ければ1つの窓口で全ての問題を解決することができます。
もし、
「相続財産が自宅と金融資産だけだけれどもどうすればいいのかわからない・・・」
とお困りの場合は、まずは無料相談をご利用下さい。無料相談は、お電話もしくは下記のメール問い合わせフォームからお申し込みができます。